『ちはやふる』×国語——31文字で鮮やかに伝える力

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ちはやふる1巻表紙/末次由紀/講談社

「言葉の力」、あなたはどれくらい使いこなせていますか?
プレゼンでも、メールでも、ちょっとした雑談でも——同じ内容を話しても、人によって「心に響く」言葉と「頭に残らない」言葉があります。
「もっと言葉を自在に使えたら、仕事が楽になるのに」と思ったこと、ありませんか?

その解決の糸口は、学生時代に国語の中で勉強する「古典」、例えば「百人一首」の中にあります。学生時代に「昔の言い回しとか勉強する必要ある?」と思った人も多いかもしれませんが、その表現力は千年以上の時を超えて、今の私たちにも通じる「伝える技術」です

目次

『ちはやふる』から学ぶ、百人一首。ー言葉の研ぎ澄まし方ー

漫画『ちはやふる』は、競技かるたの熱さだけでなく、百人一首の日本語表現の奥深さを垣間見れる漫画です。
作中の2巻では、かなちゃん(大江奏)がちはや(綾瀬千早)に和歌の背景を語る場面などが印象的です。彼女は、在原業平の歌——

ちはやぶる 神代もきかず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは

を、ちはやが覚えている「竜田川が真っ赤に水を絞り染めしてる超キレーな景色」という訳に背景の解説を加え、二条の后(きさき)が入内する前の熱烈な恋愛関係が忘れられなかった業平の情熱が秘められた恋心と伝えます。黒で印刷されたかるた札が紅葉(もみじ)の深い紅色に見えてくる、色も温度もある世界が見えてくる一瞬です。

また、11巻でかなちゃんは「ちはやぶる」の意味を「荒ぶる」と対で意味を解説しています。どちらも「勢いが激しい神の力」を表していますが、「荒ぶる」は「バランスの悪い不安定でぐらぐらな回転の独楽(こま)」、「ちはやぶる」は「高速回転するまっすぐな軸の独楽(こま)。まるで止まっているように見えながら、前後左右上下どこにも偏りなく力が集中している状態」と説明します。

ちはやふる11巻/末次由紀/講談社

国語の視点で見ると、和歌には「凝縮された表現力」「豊かな語彙」「比喩と象徴表現」「音の美しさ」「季節感」という、日本語文化のエッセンスが詰まっています。わずか31文字で情景も感情も同時に伝える力は、現代のビジネス文章にも応用できる「言葉の研ぎ澄まし方」の教材です。

学生時代は気づかなかった「古典を学ぶ」価値

学生時代、百人一首は「国語」の中の「単元の一つ」だったかもしれません。でも社会に出てみると、限られた時間や文字数で、相手に「ちゃんと伝わるように」表現する力が求められる場面も出てきます。
和歌は、制約の中で最大限の効果を出す言葉選びの訓練そのもの。

「31文字の制限」と「仕事で求められるメールの長さの制限」は、本質的には同じ構造です。和歌は単なる古典ではなく、「情報を削ぎ落として、印象を鮮やかに残す」トレーニングとも考えられます。

今日からできる言葉の扱い方

例えば、プレゼン資料の見出し。長々と説明するより、短く、イメージが湧く言葉のほうが鮮明に心に残ります。
在原業平の歌は、「秋の竜田川」の情景を、あえて説明せず比喩と色彩で表現しました。
同じようにビジネスでも、「成績が上がりました」よりも「数字が跳ねた」と言ったほうが生き生きと伝わります。

かなちゃんのように、背景や意味を理解して言葉を選べば、短くても「記憶に残るイメージ」に変わります

印象の残し方はあなたの言葉の選び方次第

あなたが日々使うメールや会話の一言は、相手にどう残っているでしょうか?
もし「もっと印象を残せたら」と思うなら、百人一首をただの古典としてしまうのはもったいない。
『ちはやふる』のかなちゃんのように、言葉の背景まで味わう習慣を持てば、表現は確実に深みを増します

——言葉の使い手になるか、ごく普通の人で終わるか。それは、あなたの表現の選び方ひとつです。——

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