【文豪ストレイドッグス】キャラを知って国語表現を楽しもう!〜その1〜

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文豪ストレイドックス_1巻表紙より
コミックス1巻表紙より

この記事では国語のStudy Hackとして【文豪ストレイドッグス】をご紹介します。この漫画は、朝霧カフカ(原作)氏と春河35(作画)氏によるマンガ作品で、異能力と、ミステリー、アクションが融合したユニークな物語です。キャラクター設定には、それぞれの文豪や作品のテーマが巧みに取り入れられており、文豪やその作品を知らなくても楽しめますが、知っているとさらに深い面白さを感じられます。
国語や文学に親しみを持ちたい人にも、絶好の入り口となる作品です。
そんな作品をより身近に感じてもらえるようにご紹介していきたいと思います。
(作品とモチーフとの関係性などを記事にしておりますので、ネタバレ等が気になる方は作品を読んでからご覧ください。)

目次

【文豪ストレイドックス】とは?

まずは文豪ストレイドックスがどのような作品かご紹介します。

『文豪ストレイドッグス』は、朝霧カフカ(あさぎりかふか)氏(原作)と春河35(はるかわさんご)氏(作画)によるマンガ作品で、実在の文豪たちをモデルにしたキャラクターたちが異能力を駆使して戦います。ユニークなキャラクター設定に加え、アクションシーンやミステリー要素が組み合わせられ、先の読めない展開に多くの読者が惹きつけられている作品です。


コミックスの累計発行部数は1600万部を超えている超人気マンガで、最新刊は2025年2月に発売された26巻です。テレビアニメは第5シーズンまで放映されており、スピンオフのコミックス作品、小説の発売、ゲーム化、映画化、舞台化と多様なメディアが展開されている、KADOKAWAが誇る作品の1つです。

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文豪たちの肖像

各キャラクターと実際の文豪はどのようにリンクしているのでしょうか?
この記事では、コミックス1巻の主要キャラクターの3人についてご紹介します。
(ほかのキャラクターについても順次ご紹介していきますので、以降の記事もお楽しみに!)

中島敦

コミックス2巻より
誕生日5月5日
異能力月下獣(白虎に変身。頑丈な体、俊敏な身体能力、異常な速度での再生能力)
所属武装探偵社

Wikipediaより
本名中島敦
生没年月日1909年(明治42年)5月5日 ー
1942年(昭和17年)12月4日(享年33歳)
出身地東京都
職業教員勤務のかたわら小説を執筆、その後、専業の作家に。
代表作山月記
光と風と夢
弟子
李陵

異能力「月下獣(げっかじゅう)」の元ネタは代表作である山月記であろうと言われています。

山月記(あらすじ):
唐の時代、詩人になりたかった男がいました。しかし、その夢は叶わず、彼は山へ姿を消してしまいます。
しばらくして、彼の昔の友人が山の中で人を食べる虎に出会います。
その虎は、実は夢破れて獣になってしまった彼でした。虎となった男は、自分の不思議な運命について友人に語るのでした。

カバーは文豪ストレイドッグスのキャラクターですが、中身は一般的な書籍です。

昔の表現方法が頭に入りづらい方は、こちらの角川つばさ文庫が読みやすく\おすすめ/です。

太宰治

コミックス2巻より
誕生日6月19日
異能力人間失格(触れた能力を無効化する)
所属武装探偵社
Wikipediaより
本名津島 修治(つしま しゅうじ)
生没年月日1909年(明治42年)6月19日 ー
1948年(昭和23年)6月13日(享年38歳)
出身地青森県
職業小説家
代表作富嶽百景
走れメロス
津軽
斜陽
人間失格

異能力「人間失格」は、太宰治の有名な作品「人間失格」から来ています。コミックス内で自殺マニアと呼ばれいているのは実際の人物ともリンクしており、5回以上の自殺企図を繰り返していました。最後は愛人と心中を遂げています。
太宰治の生涯について面白く紹介している記事がありましたので、よければこちらもご覧になってみてください。
太宰治のイメージが変わる! 文豪・太宰治はこんな人だった
(「味の素しか勝たん」とは、昭和初期の「料理人・リュウジ」ですね^-^)

カバーは文豪ストレイドッグスのキャラクターですが、中身は一般的な書籍です。

『人間失格』ではありませんが、太宰治の作品に触れてみたい方には、こちらも\おすすめ/です。

国木田独歩

コミックス2巻より
誕生日8月30日
異能力独歩吟客(手帳のページを消費し、書いたものを具現化できる)
所属武装探偵社
Wikipediaより
本名国木田哲夫
生没年月日1871年8月30日(明治4年7月15日) ー 
1908年(明治41年)6月23日(享年36歳)
※明治5年に旧暦から新暦に改暦
出身地千葉県
職業小説家、編集者
代表作武蔵野
忘れえぬ人々
牛肉と馬鈴薯(じゃがいも)
春の鳥
竹の木戸

熱心なキリスト教徒で、そのことが原因で恋愛がうまくいかなかったり、教育が頓挫したり、結婚につながる出会いがあったりしたようです。異能力「独歩吟客」は作品名であり、かつ、ペンネームでもあります。独歩はたくさんのペンネームを持つことでも知られており、孤島生、鏡面生、鉄斧生、九天生、田舎漢、独歩吟客、独歩生、鞠水、遠山雪子、白雲などあります。

カバーは文豪ストレイドッグスのキャラクターですが、中身は一般的な書籍です。

『独歩吟客』は現在読める出版物では探せませんでした。

深読み! エピソードタイトル

文豪ストレイドックスは、コミックスの各エピソードタイトルにも文学表現のかけらが散りばめられています。この記事では、コミックス1巻でのタイトルについて、深読みしていきます。

第一話 人生万事塞翁が虎

「人間万事塞翁が馬」という故事(昔からの言い伝え)から来たタイトルと考えられます。

【人間万事塞翁が馬】
人生の幸せや不幸は予測できないという意味のことわざ。

これは中国の故事に由来します。

昔、中国の辺境に塞翁(さいおう)という老人が住んでいました。
ある日、彼の飼っていた馬が逃げてしまいます。
近所の人たちは「お気の毒に」と慰めましたが、塞翁は「これが幸福にならないとも限らないよ」と言いました。

しばらくすると、逃げた馬が立派な馬を連れて帰ってきました。
人々は「良かったですね!」と喜びましたが、塞翁は「これが災いにならないとも限らないよ」と答えます。

その後、塞翁の息子がその馬に乗っていたところ、落馬して足を折ってしまいました。
人々は「なんて不幸だ」と嘆きましたが、塞翁は「これが幸福にならないとも限らないよ」と言いました。

しばらくして、隣国との戦争が起こり、若者たちは兵士として徴兵されました。
しかし、足を怪我していた息子は戦争に行かずに済み、無事に過ごすことができました。

馬ではありませんが、虎である敦の幸不幸が表裏一体となっており、まさに第一話をよく表したエピソードタイトルと言えます。

こちらもいかが?ドラえもんのマンガで「塞翁が馬」を含めた故事成語の使い方や言葉の成り立ちが分かります。

第二話 或る爆弾

「爆弾」は、物語自体の直接的なエピソードと共に、主人公である敦の内面ともリンクして話が進みます。

「爆弾」は、いつ爆発するか分からない危機感を募らせます。敦は自分自身が「爆弾」のように不安定な存在だと感じていましたが、その不安定さが新しい道を切り開くきっかけとなります。

爆弾の「爆発」は、内面の葛藤や感情の解放の象徴でもあります。
敦は自己否定に苦しんでいましたが、事件を通じて感情が解放され、自己受容へと進んでいきます。

「爆発」は「破壊」を意味する一方で、「新しい何かを生み出すきっかけ」にもなります。
敦は過去を断ち切り、新しい自分に生まれ変わる再生の物語を歩み始めます。

また、「或る」については、有島武郎が書いた『或る女』(国木田独歩と佐々城信子との結婚の顛末)、もしくは谷崎潤一郎が書いた『或る少年の怯れ』に関連があることが考えられます。

『或る女』は、大正時代の女性・葉子が自由を求めて恋愛と結婚に翻弄される物語です。彼女は情熱的でありながら、自己矛盾に苦しみ、最終的には破滅に向かいます。この作品は「人間の業」や「自己受容」、「自由の追求と喪失」がテーマとなっています。
「或る女」、「或る爆弾」とも、「或る」特定の出来事が人生を大きく動かすことを暗示し、有島武郎と国木田独歩には文学的なつながりがあるため、独歩が登場するエピソードに「或る」を用いたかもしれません。

『或る少年の怯れ』は、少年が恐怖心や自己嫌悪に苦しむ様子を描いた短編小説で、内面的な不安や恐怖、アイデンティティの揺らぎがテーマとなっています。谷崎潤一郎がメインの仕掛け人であることから、こちらの作品のオマージュということも考えられます。

こちらも、とてもよく練られたタイトルです。

『或る女』の書籍はこちらから

調べたところ、「或る少年の怯れ」が掲載された書籍は見つかりませんでした。青空文庫では、現在作業中のようなので、作業が完了すれば読むことができるかもしれません。

第三話、第四話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス

このエピソードタイトルについて、オマージュを連想させる文学作品タイトルは見当たりませんが、「ギヤングスタア」、「パラダヰス」を昭和初期の退廃的な文学表現、それに合わせて横浜を「ヨコハマ」としたことで、歓楽街であるヨコハマが、ギャングたちにとっての楽園であることを感じさせるタイトルになっています。

また、「ギャングにとっての楽園」とは安息の地ではなく、楽園であればあるほど、危険と裏切りに満ちた世界「地獄」であるという闇の深さが表現されており、「パラダイス」という言葉の響きの言葉の裏にある「絶望感」がうまく表現されたタイトルであると言えます。

とても文学的なタイトルですね。

文スト単語帳 ーLet’s learn vocabularyー

作中には、文豪が好んで使いそうな表現が随所にあり、読みづらさを感じることもあるかもしれません。そのような場合の理解の助けとして、ここで単語を解説します。よければクリックして、単語が自分の理解と合っているか確認してみてくださいね。

(この記事では、コミックス1巻の一部を取り上げました。次回以降の記事で、続きの単語を取り上げる予定です。お楽しみに!)

入水

【読み方:じゅすい】水中に身投げして自殺すること。

唐変木

【読み方:とうへんぼく】気が利かず偏屈なこと。また、その人。

凡て

【読み方:すべて】全て、総て、と同じ。全部。いっさい。「凡」という漢字は、普通という意味のほかに、「引きくるめて」や「全体」という意味があります。

所為

【読み方:せい】そうなった原因・理由。

嗜癖

【読み方:しへき(作中では「マニア」と読ませています)】あるものを特別に好む性癖。依存症と同義で使われることもある。

所望

【読み方:しょもう】あるものがほしい、またはこうしてほしい、と望むこと。

五月蝿い

【読み方:うるさ-い】物音が大きすぎて耳障りである。または、どこまでも付きまとって邪魔でわずらわしい。そのほか、いやになるほどすぐれている、という意味でも使用。旧暦の5月は梅雨時期で、蝿(はえ)が活発に活動し始める頃であったためこの漢字が当てられるようになったと言われています。

薄暮

【読み方:はくぼ】日が暮れようとする頃。夕暮れ。

鴨居

【読み方:かもい】障子や襖など、引き戸の上枠で、溝が彫られた部材のこと。

LIXIL/室内造作の用語の図より (https://www.lixil.co.jp/reform/yougo/kouhou/shitsunai/12.htm)
却説

【読み方:かえってとく(作品内では、「さて」)】中国の宋時代以降の口語小説で使用される。日本では、明治20年代以前の作品に使われていたことがある。中国文学の影響を受けた夏目漱石などが好んで使用していた。

喇叭

【読み方:ラッパ】一般的にはホルンやトランペットなどの金管楽器。また、一端に吹口がつき、他端が朝顔形に開いたもの。語源は、サンスクリット語(仏教の原語)の[s:rava(ラヴァ)]の音写で、叫び声、号音、動物のほえる声などを意味しているとの説もあります。

【読み方:ボタン】(服飾の)ボタンのこと。明治の初期にボタンのことをこのような漢字で書く人が現れ、それが広まったとのこと。

何処

【読み方:どこ】どの場所、どの部分。どの程度、どのような段階。同じ漢字で違う読み方の「いづこ」が音変化し「いどこ」から「どこ」に変化したと言われています。

伝手

【読み方:つて】離れている人に音信を伝える手段、方法。または、自分の希望を達するための手がかり、コネクション。

民草

【読み方:たみくさ】人民、民衆。

落伍者

【読み方:らくごしゃ】隊列から遅れて置いて行かれてしまった人。派生して、大勢の人が歩むような人生に遅れを取ったり、悪い方向に落ちぶれてしまった人のことも指すように。

莫迦

【読み方:ばか】馬鹿と同義。元々は、サンスクリット語(仏教の原語)のmoha(愚かなこと)の音写により、「莫迦」の字が当てられていましたが、より人々が覚えやすい「馬鹿」の字が当てられ、現在はこちらの字で広まったとされています。

真贋

【読み方:しんがん】本物と偽物、また、本物か偽物かということ。

如何せん

【読み方:いかん-せん】どうしたらよかろうか、どうしようか。また、どうしようもない、残念ながら。

此処

【読み方:ここ】この場所、また、物事が今置かれている状態。

気障

【読み方:きざ】服装や言動が気取っていて不快な感じを持たせること。漢字の通り、気に障る(きにさわる)と考えると分かりやすいかと思います。(気にかかること、という意味もありましたが、現在ではほとんど使われていません。)

一隅

【読み方:いちぐう】かたすみ、一角。

手筈

【読み方:てはず】物事をする際に、前もって決める手順や、前もって行う準備のこと。

手代

【読み方:てだい】商店で番頭と小僧の中間の使用人。または、主人から委任された範囲内で営業の代理権を持つ使用人や、下級役人を指す場合もあります。ある程度の代理の決裁権がある人という意味ですね。

中てる

【読み方:あ-てる】当てると同義で使うことができますが、「命中」「的中」「中毒」などの言葉があるように、当てるの意味の中でも特に、「目指した地点に物を届かせる」「くじ引きなどで賞を得る」の意味で使うのがふさわしいと考えられます。

溢者

【読み方:あぶれもの】職を失った者、浪人、ならず者。

嘘を吐く

【読み方:うそ-を-つ-く】嘘を言うこと。「吐く」を「つく」と読ませる例は、このほかに、「ため息を吐く」「悪態を吐く」「一息吐く」と言った場合があります。

心中

【読み方:しんじゅう】相愛の男女が合意の上で一緒に死ぬこと、または、複数の者が一緒に死ぬこと。

ビルヂング

ビルディングの古い表記。

【読み方:たむろ】人が寄り集まること。その集団。または、その場所。

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こちらもいかが?楽しみながら言葉を磨けます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

文豪や文学表現を知ることで、より深く文豪ストレイドッグスという作品を楽しめるようになります。文豪ストレイドッグスを楽しむ一助になれば幸いです。

気になった元ネタの文学作品などありましたら、ぜひ手に取ってみてください。あなたの表現力が広がります。

視点が変われば、見える景色が変わります。見方を工夫すれば、日常がもっと面白くなります。あなたは、次にどんな景色を見たいですか?

この記事はシリーズで続けていきますので、次回もお楽しみに!

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この記事を書いた人

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